“時間を奪わない”インプラント治療を目指して
インプラント治療と聞くと、
「長い」
「大がかり」
「大変そう」
というイメージを持たれる方も多いと思います。
歯を抜いてから骨をつくる手術をして、入れ歯を使いながら何年も待ってようやくインプラントを入れる――。
そんな治療が今でも一般的に行われています。

歯科医師3年目の頃、私はより専門的な治療を学びたいと思い、転職先を探していました。
有名な先生の医院を見学に行ったとき、インプラント手術を見せていただく機会がありました。
その患者さんは、歯が何本もなくなっており、4〜5本のインプラントを埋め込む手術を受けるところでした。
先生は私にこう言いました。
「この患者さんは、3年間治療を続けて、ようやく今日インプラントを入れられる段階なんだ」
そのとき、私はその言葉の意味が分かりませんでした。
なぜなら、その患者さんはすでに歯がほとんどなく、これからインプラントを入れるのです。
「これまでの3年間、いったい何を治療していたのだろう?」と。
話を聞くと、歯を抜いたあと、しばらく入れ歯の生活をし、その後、骨を作る手術をして、また入れ歯を使いながら3年が経ったということでした。
つまり、これから手術をしても歯が入るまでにはさらに1〜2年かかる。
治療全体で4〜5年もの時間が必要だというのです。
若かった私は、当時それが“最先端の治療”なのだと思っていました。
しかし、今の私にははっきりとわかります。
その治療は医学的には正しいかもしれません。
けれど、患者さんの人生にとって最善とは言えません。
なぜなら、その数年間、患者さんは「噛めない時間」を過ごしているからです。
食事を楽しめず、人と笑って食卓を囲むこともできない。
それは、人生において取り戻せないほど大切な時間を奪ってしまっているのです。
もちろん、治療を丁寧に行うことはとても大事です。
しかし、時間をかければ良いというものではありません。
今の技術であれば、もっと短期間で、より快適に、そして確実に治すことができます。
私が目指しているのは、「噛めない期間を限りなくゼロに近づける治療」です。
歯を抜くのと同時にインプラント手術を行い、必要に応じて仮歯をその日に装着する。
患者さんが歯を失った不自由な時間を過ごすことなく、日常生活を送りながら治療を進められるようにしています。
長くても1年半〜2年以内で、しっかりと噛める状態まで仕上げる。
それが、しちご歯科のインプラント治療です。
人生100年時代と言われる今。
50歳の方であれば、これからの約50年は「どんな時間にしたいか」が最も大切です。
その貴重な50年のうちの5年を、「噛めない」「食べられない」「笑えない」時間として過ごす――
それは、私には必要のない我慢に思えます。
私が守りたいのは、患者さんの「歯」だけではなく、「時間」と「人生の質」です。
治療の目的は“歯を入れること”ではなく、“その歯で人生を楽しむこと”。
そのために、私たちは一つひとつの治療に全力を尽くしています。
それが、しちご歯科の掲げる「時間を奪わない治療」です。