家族にでも行いたい治療

私は治療中、歯を削りながらたまにこんなことを考えます。

「この歯は本当ならもう少し削らないといけないな。
 でも、これ以上削ると抜歯になるかもしれない……。
 どうしようか。この人が自分の家族だったら、どうするかな」

そして、最終的には
“家族にだったらこういう治療をする”
“自分だったらこうしてほしい”
という方法を患者様に提案するようにしています。


この考え方には、私が学生のころのある出来事が影響しています。

歯学部の学生だった頃、授業でお互いの歯をチェックし合う「歯科検診実習」がありました。
虫歯の状態を「C1」や「C2」などで診断していく授業です。
その時、実習を教えてくれていた先生が私の口の中を見てこう言いました。

「あー、これインレーにしちゃってるのか。これくらいならレジンで治せたのにな」

「インレー」とは、歯を大きく削って型を取り、模型上で銀歯を作ってセメントで接着する治療法です。
銀歯が外れないようにするために、虫歯ではない健康な部分まで削る必要があります。

一方、「レジン」で治す場合は、虫歯の部分だけを削って埋めることができます。
材料も白いため、見た目も自然です。

私はその時、とてもショックを受けました。

「本当なら銀歯にする必要もなかったのに、余分に歯を削ってしまったのか……」


もちろん、その先生の言葉がすべて正しいとは限りません。
虫歯が深く広がっていて、レジンでは対応できない場合もあります。

また、医院によっては「歯と歯の間まで虫歯が広がっていたら、必ずインレーにする」といったルールがある場合もあります。
私も勤務医時代は、「これはレジンでも治せるかもしれない」と思いながらも、医院の方針に従ってインレーで治療をしていました。

しかし、今は違います。

自分の医院を持ち、治療方針を自分で決められるようになってからは、
“家族にしたい治療”
“自分がしてほしい治療”を提供することを大切にしています。

たとえば、しちご歯科では次のような方針をとっています。

  • 小さい虫歯であれば、できるだけレジンで治す。
  • それでもしレジンが欠けてしまった場合は、その時点でインレーに変更する。

これはあくまで一例ですが、私たちはこうした一つひとつの判断を「自分や家族に勧められる治療かどうか」で考えています。

他にも、他院とは違う小さなこだわりがたくさんあります。
このコラムでは、そうした「しちご歯科の想い」を少しずつ紹介していけたらと思っています。

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